じゃあ。

 

昔怪傑ゾロリってあったじゃないですか。文が少ない本みたいなやつ。あれクラスで流行ってて、多に傾倒することを良しとし信条としていた僕も例に漏れず好きだったんですよね。どんだけかというとまあイシシとノシシの違いがわかるくらい好きでしたね。他に本といったらデルトラクエストダレン・シャン。そこらへんが流行ってましたね。僕はどっちも読んでなかったんですけど、デルトラクエストに関しては6巻だけ持ってて、それを貸す人みたいになってましたね。図書室の本なんですけどね。自分でも頭がおかしいと思います。まあ知能がマイナスだったんでしかたないかなと思いますが。で、まあ世代が知れますが怪傑ゾロリ及びデルトラクエストは低学年時代でして、高学年になるとダレン・シャンが流行ったんですよね。その時は本読んでなかったんで割愛するとして。中学はなに読んでたかな〜。なにも読んでなかったな。高校は伊坂が好きで、今は太宰や谷崎に始まって永井荷風とか夏目漱石とかヘッセとか読んでますね。直近でいいなと思ったのは夏目漱石虞美人草ですね。小野さんにエンパシーを感じました。そうなんですよ、きちんと大衆の好みと自分の好みを契合させてたつもりなんですが知らぬ間に変な方行っちゃって今やサブカルおじさんなんですよ。伊坂から谷崎とかにいってしまったのがいけなかったかな。でもいいものはいいんですよね。僕は近代小説と出会えたことを後悔していませんよ。

では、いい感じの文量書いたんで本編です。

 

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暗くて、狭くて、ほんのり温かいところが嫌いだ。

人によっては胎内を連想し、もしくはそれが無意識内で起こってるとし、そういう場所を好むが、僕は好かない。

机の下、押入れの中、路地裏。それらは確かに美しさがありこそするが、そこに自分がいるとどうにも自分が打ち捨てられた粗大ゴミのように感じる。もしくは消しカスとか、使えなくなった電球とか。とにかく、用済みで邪魔でしかないものになった気分になる。だから狭いところが嫌いだ。

でも、僕の恋人はそういうところが好きらしい。下北沢の5万のアパートは異様に狭くて、外の音がそのまんま聞こえるけど、それがいいと言ってもう何年も暮らしている。僕はその思想が理解できない。でも、僕はもう何年もその恋人と一緒に暮らしている。僕の両腕が作るとても狭い空間が心地いいと微笑むその顔に恋をしてしまっているからだ。

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